初めての3人でハッピーデイ

 今日は両親と私で朝から梅田へ行った。
定期券の都合でそれぞれの路線で阪急百貨店に集合。
まず一番のりの私。次に父がついた。

 実は母が先日おはよう朝日で阪急メンズ大市の案内を見て
ちょうどスーツを欲しがっていた父に、と勧めたのがきっかけ。
両親だけで行けばよいものを、なぜか私も混ざることに。

 先に着いた私たち二人で会場へ行き物色。
人は多いものの、女性のそれに比べるとやはりだいぶ少ないな、と感じた。
 父はグレーが好きなのだとこの日初めて知った。
選ぶもの、取るもの、気に入ったというもの、全てがグレー。
もっと濃紺とか黒の好きな私はそっちを勧めたが、
羽織ってみると顔映りがさえず、おじさんは明るい色の方がいいのだとまた知った。

 しばらくして母も合流。ああだ、こうだといろいろ見る。
父がいいと思うものより母がこっちの方がいい、というものの方が
私もいいなあと思った(100%)父はそういわれると
それでいい、といい加減。何でもフィーリングで買うので
あれこれ選ぶのは性に合わないそうだ。ふん。

 結局4着を選び、試着室へ。この時20分待ち。

 試着してみてその中から2着いいのを選びすそ直し。
本日16時の仕上がり。ふらふらしたりごはん食べたりしてたら
それくらいの時間になる。

 お昼は母の独身時代によく行っていたという思い出の店。
青冥(チンミン)http://www.ching-ming.com/hankyusanbangai.html

 私と母はお粥定食・父は五目汁そばを注文。
おいしかった。しかしザーサイは私の口にはやはり合わない。

母「ここ、私昔よく来てたのよ。懐かしいわ〜」
私「そうなんや。そんなによく来てたん?」
母「独身の頃によく友達とかと来てたのよ。
 (父の方を見て)あんたもここに来たことあんの、覚えてる?」
父「え?俺?来たことない。初めてや。」
母「来たことあんのよ、昔。忘れてるんやわ」
父「無いって。あんた勘違いしてるわ。初めてや」

 私の今までの経験などからして母の言うことが正しい、と思う。
父はこういうのを結構覚えておらず、当然母もガックリ&怒りを覚えるようで。
そしてそれを見ている娘の私は母の気持ちが痛いほど伝わってき、
父が母はもうそれに触れていない段階になっても何度も
「来たこと無い」「初めて」などのデリカシーゼロ発言を繰り返すのだった・・・

 でもそんな父に娘の発見があった。
お冷が少なくなってきたので店員さんに父が
「ごめんね。お冷もう無いから入れてくれる?」と言った。
それがとても愛想よく、明るく優しい口調で
なんだかすごく感じが良かった。
その後、食べ終わって一番最後に店員さんが温かいお茶を持って来てくれた。
父は店員さんの顔をみて明るく優しい口調で
「ありがとう」
 私は「私とお母さんは違うけど、お父さんてそうなんだね」と上記のことを言った。
すると父は「当たり前の事やで」と言った。
こういう父は私は大好きだ。

 三番街には私の思っていた以上に母の思い出の店がいっぱいあるようだった。
グルメというサンドイッチ屋さんにもよく来たらしく、
目を輝かせてそれを話すのだった。私も絶対行ってみよう。

 5/10は父の誕生日。今まで簡単なものしかプレゼントしてこなかった私。
思えば母にはいろいろ孝行をしているのに、父には特に何も出来ていない。
それにとても負い目を感じていた。だから今回は絶対に何かしたい!!
母にそれを告げると、普段は父の事をボロクソにいうのに(ってオイオイ)
黙って私にバレないようにかなり控えめに微笑んだ。

 滅多にない良い機会だし、スーツも新調したし、
「ネクタイとか靴とかカバンとか何かプレゼントするけど」といった。
すると父は遠慮して「いいっていいってそんなん。金ないのにいいって」

 私は絶対に何かしたかったので、
「いいねん、そんなん。ここまで育ててもらってんから何かさせてよ」と言った。
すると父はとてもうれしそうにてれながら、無邪気に
「時計が欲しい」と言った。10万くらいまでなら大丈夫、といったけど、
父はそんなにしなくていい。安いので十分やから。といった。

 まず大丸に見に行く。品揃えが少ない上に、価格も破格。
ヨドバシに見に行く。こちらの方がリーズナブルなものも
多いうえに、種類もかなり豊富。父はいろいろ見ていた。
しかしリーズナブルなものばかりを見ている。オイオイ、そんなの
安すぎだし、お粗末すぎて50過ぎの男には合わないよ!!遠慮してるわけじゃなく
あれは天然だな(笑)「どうかな?」と母を見るとレディースをガン見。
「え・・・自分の見てるよ、このヒトは」

「私コレ欲しいなあ。買おうかなあ」

自由ですねえ・・・

 これがいい、と父が選んだのがあったけど、私はビッグカメラのカードを
持っているのでそっちで買いたい、ポイントつくから!!とケチくさい異見。
プチ家族会議を開催し、父がお直ししたスーツを受け取ってから
私と難波のビッグカメラへ行く、母はお惣菜を買いたいので、
梅田のどこぞでそれを買いそのまま帰ることに。

 疲れたので、母はマッサージチェアに座りたいと言い出した。
本当に好きだなあ、マッサージチェアが。いつも必ずあれば座りたがる。
本当は欲しいみたいだけど、置く場所もないし高いし。
2人横に並んで座る。父は座りたくない、とそのフロアをうろうろ。
本当に元気だなあ・・・
 チェアはとても気持ちよく、もんだり押したり伸ばしたり叩いたり、
母は大満足だった模様。私は若干痛かったけど、やはりすっきりした。


 その後私の服を見る。
母と一緒に見た時は「同じようなの持ってるんだからやめたら?」と
否定的な意見。一応やめておくことに。
婦人服のお店だったので父は外で待っていた。
仮面ライダーのイベントがどこかで行われるらしく、
その等身大の人形や映像が流れている一角があった。
私と母が店を出るとそこにきをつけの姿勢で
じっと見入っている父の姿があった。本当に好きだなあ、そういうの。
ノスタルジックな思いがあるのか、父はこういうのが好きだ。
母は「いい年してバカじゃないの」と言っていたけど、
私は別にいいじゃないの、と思う。

 いろいろフラフラして疲れたので、汚いマックの横にある
おじさんくさい喫茶店でコーヒーを飲む。
父の注文のセリフが「レーコー」だったことに母と驚く。
『レーコーっていう人はテレビで映るおじさんという
遠い存在と思ってたけど、こんなに身近にいたとは!!』
私と母は同じものであたたかいコーヒー。
しょぼくれた店なのにおいしいコーヒーだった。

 そこで私と母はくたくたになったのでぐったり。
父はピンピンしていた。何を話したろうか・・・雑談をした。
そういえば父は会社から新しく支給された携帯電話が超薄で
たいそうそれがお気に召したらしく、朝からわざわざ
朝食を摂っている私の前に座り、ケータイをパカパカさせ、
「これ、何か分かる?」と見せに来た。
父はこういうところがある。まるで子供が新しくおもちゃを買ってもらったみたい。
コーヒーを飲んでいる間もずっといじっていて、
母が個人携帯のプラン変えたら?などの話をしていた。
 16時20分前になったので父がスーツを取りに行った。
本当に元気。スバーっと立ち上がりタタタタと去っていった。
私と母は「元気ねえ」「本当。洗濯とかしてほしいわ」と
あんなに元気なら家事を手伝ってほしい発言をしていた。

 その後、先ほどの会議の通り母と私たちはいったんお別れ。
母がサーっと行ってしまったので父は
「何や、そっけないなあ」と冷たい人だな発言。
「どうせ数時間後にはまた顔合わせんのにいちいち名残惜しがるわけないやん」
「まあなあ、そうやなあ」

 「やっぱりさっきの服欲しいからちょっと待っててくれる?」
とやはり売り切れてしまったら絶対後悔しそうなので先ほどの服を購入。
ピンクのペイズリー柄でチュニックにもワンピにもなるくらいの丈。
会計の時に父から電話が。
「さっきの仮面ライダーの所にいるから」
 ど、どんだけ好きなんですか。店から出るとやはりそこにいた。
普段家でそういう感じだとイヤだな、と思うけど
今日の父のそういった姿はかわいらしく感じた。

 2人で御堂筋線で難波へ。ビッグカメラに直行。
いろいろ見て私的にはさっきヨドバシで選んだのよりもカッコいい時計を父はチョイス。
「じゃあ、○○、すいませんけど、コレ買っていただけますか?」
「そんなんやめてよ。わかった、これね」と25000円くらいのを買った。
やはり安月給サラリーマンの私は2回分割。2回だと手数料ないし。。。
大きさ調節で2つ部品を外した。包んだり会計の間、何度か父は私に
「もうしばらく○○に頭あがらへんな」と言った。
「やめてよ、全然いいって、そんなん」
父があまりに過剰な感謝をするのでかえって恐縮した。

 その後、私は自分が見たいものもあるので、父は帰宅。
自分はフラフラした。本当にいろいろみたけれど、結局ほぼ何も買わずに帰宅。

 母は生まぐろを買って来ていた。
父は今まさに食事の最中で私に
「○○、今日は時計をありがとうございました。
(母の名前)さん、今日はスーツをありがとうございました」
とテーブルに三つ指を立てて頭を下げた。
「大事に使ってな」と私は言った。
母は意地っ張りなのでツーンとした顔に無言だった。
けれど、絶対に母はうれしかったろう。

 その後もずっと父はうれしそうに時計をつけて、それを眺めていた。

 明日はそのスーツと時計をつけてルンルン気分で出社するんだろうな。

 思えば今日は弟2人はいないけど、両親と私3人で
初めて梅田に来た。父の為の一日だったけど、私にはとても幸せな一日だった。
父と母の新しい面をいくつか発見できることは
この年齢になってそうそう無いことだけど。
またこんな機会があればいいのになあ。

 本当に今日は最高の時間を過ごせた。